失恋記念に恋愛系書籍を読み漁って

失恋記念にブログを書いています。

恋愛観はそれぞれあると思いますが、おおよそ次の3つに分けられると思います。


❶恋心 衝動的に好きになるもの
❷交際 結婚もしくは「お付き合い」を目的とするもの
❸生殖 生殖・繁栄を目的とするもの

 

私たちはこれらを恋愛とひとくくりにしてしまいがちです。
「付き合うなら○○、結婚なら▲▲」なんて言い方をするくらい、元々は別のもののはずです。
(この場合恋心を抱いている相手は○○のことが多いです。)

 

また、これら3つは必ずしも男女1対1の関係でなくてもよいはずです。
好きな人が2人以上いることだって、世の中にはあるでしょう。一夫多妻制の地域や時代もあります。セックスフレンドをもっている人もいるでしょう。

 

しかしこれらは、ひとくくりかつ1対1が正しいという印象も同時にあります。
これらの考え方は戦後に普及したイデオロギーです。結婚という制度とともに。
(戦後といったのは、戦前ですとお見合いがきっかけで結婚する人が多かったためです。)

 

理想の結婚像という神話では❶恋心を抱いた相手同士と❷交際し❸性行為をし、家族をつくる。
1人の異性だけと、十分に満たすのです。

 


私だけかもしれませんが、これらの恋愛観に優劣付けず1人の異性に対し想い続けることはできないと思います。
逆説的に、それをできる相手が「運命の相手」となるのでしょうが……。

なかなかすべて叶うことができなかいから、恋愛についての悩みが尽きないのでしょう。

 

うまくできていると見える人は、代替をしているだけなのかもしれませんね。
恋心なら恋愛作品を観る、交際ならば友人と親しくする、生殖ならば性風俗など。
そういった解消方法を知っているか知らないかでは恋愛での「重さ」が違ってくるのかもしれません。

 

 

失恋の内容ですが、
私は異性に❶恋心を抱いていましたが、私ではなく❷を重視する方を選んだ、ということです。

 

これらは別軸のことのため、優劣はないのでしょうが、
明らかに恋心の方がピュアで清楚だと、そのときは信じていました。
だから、交際目的の同性を「誰でもよかったのではないか」と嫌悪してしまいました。
恥ずかしいかぎりです。

 

恋心の方がピュアだと感じるのは、ロマンティックなイデオロギーに縛られていて
交際も性行為も、互いの恋心が前提にあるという神話を信じてしまっていたからなのでしょうね。

 

くわえて、恋愛がうまくいけばおのずと人生もうまくいくという描かれ方の作品に影響された、恋愛至上主義的な考え方によって、
恋愛がうまくいかなかったので、それにともない人生もダメであるという否定的な錯覚を覚えてしまって、最近は憂鬱でした。

 


……と、まとめるのは簡単ですが、
ここに至るまでの心境の変化はかなり複雑です。
ムキになって恋愛系の書籍を読んで、少しだけでも成長したかなって思えてやっと、俯瞰して文字にすることができています。

 

 

 

 

恋愛で悩んでいるときは必ず読む本があります。どちらかというと❶の要素が強いですが、
二村ヒトシ『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(イースト・プレス,2014)というエッセイです。

こちらは女性向けの内容ですが、男性向けの 二村ヒトシ『すべてはモテるためである』(イースト・プレス,2012)もあります。

 

自己嫌悪してしまいそうな自身のネガティブなところを「心の穴」と表現し、そんな嫌な面も受け入れる、自己受容をしよう という内容です。そうすればヤリチン男(クズ男)に依存してしまうのをなおせるというのです。モテるための自信も、自己受容から来ます。

 

似た内容がほかの女性向け自己啓発やエッセイにもあり、最近は
神崎メリ『メリ子先生、わたしどうしたら大好きな彼と幸せになれますか?』(SB Creative,2023)を読了しました。
クズ男回避のメソッドを「メス力」と呼び、具体的な方法とマインドを書いているので実践しやすいと思います。

 

男性向けの類似の内容ですと、宮台真司『「絶望時代」の希望の恋愛学』(KADOKAWA,2013)があります。当時筆者のイベントに参加した覚えがあります。
これもまた別の失恋の思い出です。

 

なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか

 

すべてはモテるためである

 

メリ子先生、わたしどうしたら大好きな彼と幸せになれますか?

 

「絶望時代」の希望の恋愛学

 


恋愛相談系の内容だと、❷の交際関係の色が強く出ますが、
桃山商事『生き抜くための恋愛相談』(イーストプレス,2017)が大好きです。
というのも、書き手の話のほぐし方がとても上手なのです。

例えばクズ男に対する内容だと、上記2つとは書き方が異なります。
クズ男との恋愛がなぜか楽しくマトモ男子と付き合えないといった内容の相談に対して、ダメな男ほど魅力的だとか、結婚するには普通が一番だとかいう話をせず、相談者がなぜクズ男の要素があると楽しくなってしまうのか、という理由を探っていく構成になっているのです。

なぜクズ男との恋愛が楽しいのかというのを軽く提示したうえで、その原因はクズさではなく、何が起こるかわからない予測不可能性が本質ではないかと仮説をたてます。それならばマトモ男子に対しても自分からアクションをとることで予測不可能な体験をすることができると提案しています。
クズ男かマトモ男子かといった二項対立に陥ることのない恋愛相談が、心地よいのです。

 

桃山商事『モテとか愛され以外の恋愛のすべて』(イーストプレス,2019)もおすすめです。
好きだとか、好きになってもらうだとか、そういったこと以外にも人間関係を構築する楽しさが恋愛にはあり、それら恋愛の周辺事項が書かれています。

 

生き抜くための恋愛相談

 

モテとか愛され以外の恋愛のすべて

 


逆にモテを中心に書いている書籍も読みました。
藤沢数希『ぼくは愛を証明しようと思う。』(幻冬舎,2015)やゴッホ『新版 恋愛工学の教科書』(総合法令,2022)は恋愛工学について書かれたものです。
恋愛工学とはいっても❸の恋愛観が強く、セックスをゴールにナンパを手段としてその成功率を高める内容です。

 

ナンパに関しては草加大介『ナンパ塾秘伝 口説きマニュアル』(河出書房,2018)を積読としているところです。

 

男女両方の視点から書かれた ひろと『モテる人の恋愛科学』(KADOKAWA,2021)は読みやすい2色刷りで、内容の具体性もありました。

 

ぼくは愛を証明しようと思う。

 

新版 恋愛工学の教科書

 

ナンパ塾秘伝 口説きマニュアル

 

モテる人の恋愛科学

 

 

 

 

 

本の紹介ラッシュはおしまいにしましょう。

先人の知識を借りることで、自分は小さくても、背伸びをすることはできるのですね。
ちょっと自信が出ました。

 

 

さて、私はVRを趣味にしています。
VRの世界を観察していると❶~❸の行為(真の意味でも代替の意味でも)に該当するものがあると感じることがあります。

 

身近な例ですと、私たちは日常的に「可愛い」と言い合い、撫で合います。これは疑似的な恋心にも思えます。なぜならば、可愛いという言葉を投げかける時点で、多少なりとも好意をもっているからです。

 

リアルの例でいうと、
本当は好きな人のことを「尊敬している」だとか言い換えて好意を表現することと一緒ではないでしょうか。

 

 

パートナー関係を築くことをお砂糖といいます。また、疑似的な生殖行動をjustと呼ぶそうです。

それらについて触れるにはここはpublicすぎるため、今はやめておこうと思います。

 


先の失恋のとおり、私は❶恋心を強く求める傾向があるようです。
逆に生殖は苦手で強い欲求はないと思います。生殖行為も、子供をもつという選択も。

交際については、結婚をきらう傾向があります。彼氏彼女の関係であれば、恋心のゴールの一つとして関心はありますが、それをきっかけにしてから仲良くなろうとか、ステータスとして恋人がほしいとかはあまり思いません。

 

繰り返しますがこれらに優劣はありません。
そのため、交際や生殖に対してインモラルといった評価を下すのは間違っていると思います。

ロマンティック・ラブなイデオロギーが前提にあるため、恋心が純心なように思えますが、それは錯覚です。

 

結婚を目的としたアプローチも、セックスを目的としたナンパも平等に扱う、という立場にいたいのです。


ですが、私個人として恋心を、衝動的な「好き」を、胸の高鳴りを羨ましく思うのです。

 

 

もしVR内のイベントで誰かをもてなす側にたつことがあれば、その際は疑似交際や疑似生殖というよりむしろ、疑似的な恋心を抱き抱かれる関係を、少しでも味わえるようにしたいと思います。

 

その関係性に名前なんていりませんし、交際なんて長期間の縛りもいりません。
甘い雰囲気で互いに目を見つめていればいいのです。

時計が止まったかのように時間を忘れて。

 

 

 


短期間でも個人を好きになるなんて、他人に興味をもとうなんて、もちろん難しいことです。

 

だから、人の気持ちを理解できるよう、他人の書いた言葉を、本を、
読み続けていこうかなとやっぱり思うのでした。