2023

1年の振り返りをします。

 

 

この1年、ブログを通してVRChatについて私感を少々綴っていました。過去の記事でも取り上げている通り、私のスタンスはVRChatは現実と地続きになっているということです。世間ではVRをリアルと比較してその優位性を語っているように思えてならないのですが、私はそう思わず、ただただ拡張された現実のひとつだなと感じるのみなのです。

 

実際、VRのおかげで広がった趣味はあります。リアルでは行かなかったクラブ系のイベントに行ったり、ファッションにこだわりをもってみたり、さまざま今までの生活から変化したところがあります。ただVRの特権というか素晴らしさというか、聖域のような印象はありません。VRChatを2~3年続けているため、初めてのころにあったときめきなどが薄れてしまっているからこういった考えになったのかもしれませんが。また、ある程度のハードル(高性能のPCやVR機器の購入)を越えてこの世界に入り込んでくるため、価値観がまったく合わない人をスクリーニングできることもあるでしょう。

 

しかし、それらはVRの特権ではないと感じるのです。趣味嗜好のきっかけやある種のゲーテッドなコミュニティは、以前であれば2chニコニコ動画がその役割でした。今目の前で行われているこれらは、ただ時代とともにその場が移り変わっただけだと思うのです。VRの特権というのは視覚的な情報量の多さ以外ないとさえ思うことがあります。

 

 

 

VRで「なりたい自分」にはなれない

例えば「なりたい自分になれる」というキャッチコピーは誤りだというのを、みなわかっているでしょう。なりたい自分にはなれません。

 

以前の記事で書いたことですが。

urara-k.hatenadiary.com

 

メタバース進化論』(技術評論社,2022)からの引用です。

基本的には与えられた固定のものを「受け入れる」しかなかった物理現実時代のそれとは違い、メタバース時代のアイデンティティは自由に「デザインする」ものになり、「なりたい自分」として人生を送ることが可能になるのです。(p153)

 

3つの意見があります。1つめは「受け入れる」ことへの対抗が自由とされていること。2つめは自由にデザインできず、ある型を模倣すること、もしくは型からの変形でしかないこと。3つめは人生を送るためには1人では不十分だということ。

 

1つめは揚げ足取りかもしれませんね。2つめは、例えばアバターであれば基本の型(アバター)があって改変をするのです。土台は決まっていてそこに要素を付け加えたり消したりするのです。これを改変とよんでいますね。つまり、自由というのは「なりたい自分」になれるのではなく、ある型を土台にして改善や修正していくしかないのです。まったく別物のユニークなものにはなれないのです。

 

そして、一番大きいのですが、3つめ、たとえ理想の容姿やロールプレイの技術を手に入れても、それを通して人と関わらなければ人生を送るというゲームをプレイすることはできないのです。つまりは誰かと関わらなければならず。コミュニケーションがVRChatというゲーム満足度を上げる一番の要因になると感じるのです。見かけ上なりたい自分になれても、それで生活を送ることは難しい。そのため、なりたい自分と認めてもらえる自分の境界線を模索するゲームに落ち着くのです。

 

また、言葉上矛盾のように感じますが、一方で「何者かになりたい」という気持ちは肯定してます。

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ここでいう「何者かになりたい」のは、承認される像としての話です。したがって、「なりたい自分」や「作りたいもの」は受け入れられて初めて存在できるため、公共圏の範囲内でしか自由度はないのです。

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例えば公共圏を無視して、小児の性風俗アバターを作り上げることはできるでしょう。しかし、世間はそれを受け入れることはなかなかできないのです。

 

 

 

キャラと体

コミュニケーションについてはとくに承認欲求やキャラクターといったキーワードを中心にブログのエントリを書いてきました。また土井隆義の著作をよく読んでいました。

urara-k.hatenadiary.com

 

土井がいうには、現代では公共圏では「素の自分の表出」、親密圏では「装った自分の表現」となり、以前の自己表現とは逆転してしまっているというのです。また、「装った自分の表現」を優先させ、異質な点を隠す「優しい関係」であるといいます。つまり集団からハズれないように、ハブられないように、同化してつながり続けるのです。一方で集団から離れ、知らない人の中にいるときは特段同化を意識しないのですね。

 

これは本ブログに関係ないことですが、
こういった親密圏・公共圏、ウチ・ソトの2項対立ばかりを考えていたのですが、その間にもうひとつレイヤーがあるのを知りました。

 

「体(てい)」というものです。

saize-lw.hatenablog.com

 

引用元は就活の話ですが、応用できると思います。土井のいう内キャラ(本心)と外キャラ(コミュニティで演じているキャラクター)は納得できます。その中間に、「体(てい)キャラ」があるのではないか、と思うようになりました。

 

VRChatをしていると演じているキャラ(外キャラ)だけでは不十分な場面がやってきます。例えば、しっとりとした空間であったり、好きな人との会話だったり。内キャラの一部をさらけ出すことが必要になる場面がでてきます。自身の内面を打ち明ける、カミングアウトというのはしばしば屈辱的で羞恥心を伴う行為です。そして集団からハズれないようした「優しい関係」を維持できなくなる危険性があります。

 

メンヘラというのは、この内面を正直に話しすぎなのです。私も含めて。こういったときは、体(てい)を使うのがよいのです。方便です。例えば、君が一番好きだよといつでもいうのです。べつに一緒に居なくて寂しいと思っていなくても、寂しいという体にするのです。

 

 

 

ホモソーシャル

「装った自分の表現」を優先させ、異質な点を隠す「優しい関係」を行い、同質主義なのが現在のSNS社会(=VRChat)だと思っています。なかでもサービス利用者は男性が多いわけですから、男性優位主義machismoを感じることが多いです。

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この記事ではこんなことを言ってたんですね。

 

メス男子について

「男らしさ」から「降りる」という選択肢もできると思います。アバター・女声やボイスチェンジャーなどで女性的なコードを身にまとうことが可能なのです。「男性」という地位につかないという選択肢で、自ら貨幣として扱われることで、社会に参加するのです。

ここで、見かけ上、ギデンズのいう「生殖という必要性から解放されたセクシュアリティ」に近いと感じてしまいます。自由に塑性できる性のため、「対等な人間同士による人格的絆の交流」という親密な関係性と錯覚してしまうのではないでしょうか。
(実際は選択したジェンダーのロールプレイのため、対等ではないように思えますが……。)

つまり、ロールプレイによる演技は誇張を伴うわけです。そのため、男性性から降りて男女隔たりない対等な関係を望むのではなく、男女の差を強調させる行いなのです。

 

お砂糖について

また、リアル社会では結婚することがまだまだ常識であり、むしろ義務のように感じます。
そのような中での「お砂糖」という関係は、結婚とは対極にある恋愛の純粋でプラトニックなものとして経験されるのではないでしょうか。

つまり、(同性同士なので)永遠に結婚することはできないという制約自体が、結婚して家族を作って生活するような生々しさをイメージすることなく、まるで愛人かのように、純粋な愛情と錯覚するのではないでしょうか。あくまで異性間のお砂糖を除いた話ですが。

 

そう考えると、メス男子もお砂糖も、男女平等に向かった結果ではなく、男女差が開く方向に誇張された結果なのではないでしょうか。

 

 

 

VRChatに限らずSNS社会、自身をどのようにでも名乗ることができます。しかし、名乗ったところでそれを認めてもらわなければ実感はありません。そのため、認められやすく誇張した外キャラを演じています。それは自身だけでなく他者もそうです。認めるにはある程度の基礎知識は必要です。ですから、似たようなところに似たような人が群がる結果となります。同質であることを確認してほっと一安心するのです。こっちが認めてやるんだからそっちも認めなさい、という契約を無意識的にやっているのですね。そんな同質性に富んだ中では少しの差異がとてつもなく強烈に見えます。だから例えば「オレたちキャラ濃いww」という寒さが出るのですね。でもいいのです。それで。その同質でゲーテッドなコミュニティの中である役をロールプレイすることでしか、私たちは実感を得られないのですから。

 

ただできる抵抗はいくつかのコミュニティに同時に所属することでしょうか。もしくはリアルを生きるか。案外、リアルの方が生きやすいかもしれません。

J-pop DJのはじめ方

VRChat内でJ-popをメインにDJをしています。
経験も知識も浅いのですが、私なりにDJをしている方法を記載していきたいと思います。これを見た人がJ-pop DJをはじめて、もっと和モノイベントが増えてくれればよいなと思います。

 

 

 


つなぎ

J-popは一般に次のような構成になっています。

    1番 2番    
セクション イントロ Aメロ Bメロ サビ 間奏 Aメロ Bメロ サビ 間奏 Cメロ サビ アウトロ

 

イントロ・間奏・アウトロがボーカルの入っていないことの多いセクションです。ここが繋ぎどころです。私の場合は、1番の間奏に次の曲のイントロを重ねます。

 
デッキ1   1番        
セクション イントロ Aメロ Bメロ サビ 間奏        
デッキ2           1番
セクション         イントロ Aメロ Bメロ サビ 間奏

 

間奏とイントロの重ね
例 STAY TUNE/Suchmos → Break Free/Nulbarich

 

つなぎ方は以下のとおりです。フェードインとちょっと速めのフェードアウトです。

BPMを合わせた後、

①デッキ2のlowを切り、デッキ2の縦フェーダーを徐々に上げる
②デッキ2のlowを徐々に上げていき、同時にデッキ1のlowを切っていく
③デッキ1にbeat fxのlow cut echoを少し(10時くらいの角度)かける
④デッキ1の縦フェーダーを切る

 

基本的に間奏やイントロといったボーカルのないセクションをつなぐため、低音にさえ気を付けていればいいかなと思い多くはlowだけでやっています。丁寧にやりたい場合はmidやhiもいじります。

 

フェーダーの動きに関しては、以下のサイトが丁寧に書かれてあり、参考にしていました。

dogal-blog.com

 

YouTubeで手元の見える動画はたくさんあるので、それを参考にしています。

アニソンmix No.2 手元公開【お宅DJ】 - YouTube

この動画なんかはlowと縦フェーダーが中心になっています。

 

 

low cut echoはお好みで、なくてもよいです。あった方が好きな場合が多いため、おまじないとして書いておきます。

 

low cut echo
例 ELECTRIC SUMMER/Base Ball Bearテレキャスター・ストライプ (全知全能 ver.)/ポルカドットスティングレイ

low cut echoなし

low cut echoあり

 

テレキャスター・ストライプはテレレテレレテレレテレレと始まりますね? これは印象的なスタートなので、フェードインなどして崩さないように、フルボリュームでいきなり流すようにします。対して、今かかっているELECTRIC SUMMERは速めのフェードアウトをしていきます。ラブホテル/クリープハイプの「夏のせい」なんかも似たように印象的なスタートですね。

ROCK以外でも『愛しい対象の護り方』カンデコ/茶太のはじめのジャーーンという感じはいかしたい要素です。ほかにもジャーーンはいろいろあると思います。

 

 

しばしば1番の間奏がなく1番のサビの後にすぐ2番のAメロがくる場合もあります。

    1番 2番    
セクション イントロ Aメロ Bメロ サビ 間奏 Aメロ Bメロ サビ 間奏 Cメロ サビ アウトロ

そういったときは

・カットイン
・low cut echoで無理やりつなぐ
・lowだけでなくmidも操作する
・2番の間奏までかける
・2番から流す
・途中でラスサビに飛ばす
・使わない

といった対処をします。

 

low cut echoで無理やりつなぐ
例 「あの娘は誰?」とか言わせたい/KIRINJI → 金曜日のヴィーナス/流線形 & 一十三十一 Feat. 堀込泰行

サビの途中から次の曲のイントロを入れています。違和感のないように雰囲気の似ている曲を選びましょう。

前の曲は何もしないと次の歌詞が始まってしまいます。ですから、low cut echoで無理やり伸ばし、「言われたよ たよ たよ たよ……」とechoをかけてます。

 

ちなみにKIRINJI(堀込高樹)と堀込泰行の兄弟つなぎなので、ボーカルの質感も似ており違和感が少なくつなげたと思います。

 

 

ボーカルのないセクションでも重ねてみるとうるさくなってしまうことがあります。そういった場合は、デッキ2の曲を入れるタイミングを遅らせ、できるだけ重なる時間を短くします。 

しかし、つなぐ時間が短くなって細かなEQの操作が難しいのが欠点です。その場合は、filterをつかってお茶を濁します。

 

例 ねぇ/Perfumeチョコレイト・ディスコ/Perfume

EQを操作(low・mid)した場合

filter(high pass)を使った場合

 

あまり違いはないと思います。ツマミ2つの操作からツマミ1つの操作になっただけでも余裕は違います。

また、この曲でもつなぎの時間は十分にある方です。アニソンなどもっと短い時間でつながなければいけないときにfilterは重宝します。

 

以前ニコニコのブロマガに上がっていたものを参考にしました。
同じ著者さんがnoteでも書いていらっしゃいますので、そちらも参考にしてください。

note.com

 

 

Cue打ちは、以上のことが操作しやすいように次の箇所に打ちます。

・曲を切り終わるタイミング:間奏のおわり
・重ね始めるタイミング:イントロのあたま

重ねる時間は私は8小節分としています。これくらいあれば慌てててもなんとかなるかなと思っているためです。

 

 

以上がベーシックなつなぎ方でした。もっとほかのつなぎ方は後述します。

 

 


セットリスト

ほかのジャンルでも、盛り上げや落ち着きの波ができるように作っている人が多いと思います。J-popでは音楽自体のもつ盛り上がり性(BPMや音圧など)のほかに知名度も盛り上がりに関与します。表にすると以下のようになるでしょう。こういったことを考えながら選曲していきます。

 

    音学的な要素
   
知名度 メジャー アンセム
マイナー ニッチ

 

また、選曲は3~4曲をひとつのカタマリとして、できるかぎりカタマリ内ではテーマをそろえ、次のカタマリに移行するときに大きく違う雰囲気へ変えるようにします。

以下、実際のセットリストを例に、どうやって作っていくかを述べていきたいと思います。

 

セットリストの例

GOTANIST でDJプレイしたものです。

https://x.com/Shikimi_t/status/1726168720547230143?s=20

 

 

私は2番手で、1番手のミカゼさんがエレクトロスイングかける予定でした。エレクトロスイングはJAZZの色が濃い音楽ですので、私もJAZZっぽい曲を選曲しました。

 

 

上記セットリストでは①~④でひとカタマリです。

Go! Go! Maniac/ALL THAT JAZZ
残酷な天使のテーゼ/ALL THAT JAZZ
③The Sweetest Time/中塚武
④愛の泉/orange pekoe

今回のセットリストはいきなりアゲていくようです。

このなかで①、②は定番曲のJAZZアレンジです。はじめにかけた①Go! Go! Maniac/ALL THAT JAZZはインスト(ボーカルのない曲)です。1番手のミカゼさんもインストの曲で終わるだろうと思ったため、それに合わせてこちらを先にかけました。

①~④はすべてJAZZの曲調で、BPMも同じくらい。対して知名度は違い③④は比較的マイナーなため、そこで盛り上げの波を作ろうとしているのです。

 

 

⑤土曜日の恋人/NONA REEVES
⑥ラブリー/大橋トリオ
⑦アポロ/モノンクル
丸ノ内サディスティック/宇多田ヒカル with 小袋成彬

このカタマリは、先ほどよりもBPMを思いっきり下げて落ち着きを表現しています。先ほどのカタマリは124前後、こちらのカタマリは90前後です。

BPM以外のところは統一感を崩さないようにしています。このカタマリ内の曲はすべて有名なJ-popのカバー曲で、知名度に差はありません。曲調もJAZZっぽさがあります。

 

 

⑨渋谷で5時/鈴木雅之 & 菊池桃子
⑩原宿午後6時/フレンズ
⑪東京は夜の七時 (feat. Night Tempo)/野宮真貴 & Night Tempo

いったん落ち着かせたためまた盛り上げの波をもってこようと思います。そのため、BPMが120台と先ほどより早めの曲群をもってきました。

 

このカタマリ内では文脈でつなぎをしています。前のカタマリの最後が「丸ノ内」サディスティックなので東京の地名でつなぎました。

このカタマリ内では5時6時7時と時間が経過していくようにつないでいます。つなぎやすいように⑪は原曲ではなく、BPMの近いNight Tempoのものを使用しました。

また、これらは渋谷系というジャンルでもつながっているため文脈的親和性の強いつなぎでした。

音楽的には少しJAZZさは薄くなり、POPSよりになっています。

 

 

⑫接吻/ORIGINAL LOVE
⑬ひかるまち/CRCK/LCKS
⑭はなれ ばなれ/クラムボン
⑮エイリアンセックスフレンド/FINAL SPANK HAPPY
⑯まわれ まわれ/流線形と比屋定篤子

今度はまた落ち着きを演出したいためにBPM90台を選曲しています。知名度は接吻以外は、今までの曲と比較してないほうだと思います。音楽的・知名度的にも落ち着きのあるカタマリとなりました。

 

次のカタマリで盛り上げるための布石でもあります。
実際、このあとはBPMも少し上がり知名度も高い曲が続いています。

 

個人的にやりたかった東京事変の曲を最後の盛り上げにして、赤い公園でしめています。

 

……と、このような感じにセットリストを組んでいます。

 

BPMや勢いや雰囲気など音楽的な要素、そして知名度という要素の両者で、アゲサゲの波を作った例でした。

 

セットリストの作り方は以下の記事を参考にしています。

note.com

 

 


Dig

 

Digり方は大きく2つあります。

 

①ほかの人のDJを参考にする

参考にしているDJを挙げます

www.twitch.tv

(filterでつなぐことを解説してくれた人)

 

www.youtube.com

 

ほかにもYouTubeでDJを検索したり、VRChatのDJイベントで気になった人のmixを聞いたりしています。

 

Spotifyでセットリストを作ってみる(こっちがメイン)

絶対に入れたい曲やテーマを決め、Spotifyのおすすめ、プレイリスト、radioで気になった曲をどんどん入れていきます。

 

ざっとしたプレイリストができたら、セットリストにするならどういう順番にするか考えながら、新しく別のプレイリストを作ります。

曲を聞きこみしながら河川敷を走ります。少し痩せます。

 

そこで選んだ曲を含むアルバムを手に入れ、一緒に入っている曲も聞きます。

 

これを繰り返します。

 

 

ほかにも個人ブログやタワレコオンラインをみることが多いです。
とくに、文脈的なつなぎをする場合は個人ブログやTwitterが役に立ちます。

 

 


ほかのつなぎ方

 

どうしてもBPMの違う曲をつなぎたいだとか、雰囲気の違う曲をつなぎたいだとか、つなぎかたの幅を広げたいとかベーシックなつなぎかたで満足できないことがあります。

 

例えば、ジャンルは少し違いますが、つなぎのテクニックは以下の動画を参考にしてます。使えるところがあればそれをJ-popにも応用します。

プロが教える!HOUSE / EDM / TECHNO で使える DJ MIX 応用テクニック 5選 with MIXFUN! (DDJ-FLX4対応!) - YouTube

プロが教える!HIPHOP / R&B で使える DJ MIX 応用テクニック 5選 with MIXFUN! (DDJ-FLX4対応!) - YouTube

【アニソンDJ教則動画】適した曲は?カットイン基本編! - YouTube

 

 

私の例も紹介します。

 

言葉・ループでつなぐ

例 ユリイカ/サカナクション爽健美茶のラップ/chelmico

ROCKとHIP HOPをつなげる機会がありました。曲調が変わるため、なにかでつなぎたいなと思って「ドクダミ」のループでつなぎました。こういう言葉でつなぐのもひとつの手段としてもっておきたいです。普段から歌詞に意識を向けておきましょう。

 

 

クラッチでつなぐ

例 350ml Galaxy/Lucky Kilimanjaro → 白日/King Gnu

BPMが123と93で大きく違います。
白日にはサビ前にスクラッチ音が入ります。ここをHot cueで再生してリズムを作ってつないでいます。実際にスクラッチしなくても、スクラッチ音のある曲を選べばなんとかなります。

ちなみに350ml Galaxyはお酒の歌で、実際のイベントではマイクパフォーマンスで乾杯を煽っています。その後に有名で比較的スローテンポな白日が流れれば、乾杯を邪魔せずかつ盛り上がれると思ったため、この並びにしました。

 

 

ボーカルとボーカルを重ねる

例 BOY/daoko → Ututu/daoko

ボーカルとコーラスを重ねる

例 すいみんやく/pinoko → Fog/daoko

イントロ・間奏など音の少ないセクションがみあたらない場合は、思いっきりボーカルとボーカル・コーラスっぽい部分を重ねてみます。もちろん、違和感が大きくならないように同じアーティストや曲調・声質の似たアーティストにしましょう。

 

 

ドラムのダダダダでつなぐ

例 WHERE?/夜の本気ダンス → シャングリラ/チャットモンチー

ちゃんとした用語がわからないのですけど、ダダダダはつなぎやすいです。BPM90(180)から129に変わっているので大幅な切り替わりですけれど、そこまで違和感なくつなげられます。

 

 

ほかには、バックスピンやちゃんとジョグを動かしたスクラッチを伴ったつなぎも取り入れています。

 


おわりに

私は独学で、主にアニソンDJを参考にJ-pop DJをしています。ほかの畑の人から見たら違うつなぎ方かもしれません。その点、ご留意ください。

 

J-popはじめ歌モノはそこまで難しくなく、つなげられるポイントが少なく制限が多いです。よく言えば、悩むことは少なく、ワンパターンになるように感じます。というかJ-popならフルでかけてもそんなに悪くないとさえ思います。

 

むしろ、つなぎ方というよりもセットリストを組んだり、Digったりする方に重要性の軸があり個性を発揮できるように思えます。そのため、DJの趣味志向が色濃く出て聞いていて楽しいのです。

 

既知の曲からはじめられる懐メロDJなんかは、聞き込みは既にしているし、フロアの盛り上がりも予想しやすいです。意外とオシャレな曲も多いですよ。昭和歌謡をやってこそとまでは言いません、まずは00年代POPSをやってみませんか?

 

基本的なことしか記述していないかもしれませんが、これを見てJ-popをやるひとが増えてくれればうれしい限りです。

 

 

 

なぜフェノールは抗酸化作用があるの? 理科の学びなおし

前回の記事ではフェノールが酸性を示す理由を調べました。

urara-k.hatenadiary.com

 

今回は抗酸化作用について考えていきたいと思います。

 

抗酸化作用とは、名前のとおり酸化に抗う作用です。そもそも酸化とは、電子のやりとりによって発生するものでした。この電子を捕捉することによって酸化反応を停止させる働きがあります。

電子を・、フェノールをArOH、基質をRまたはROOHとした式ですと以下のようにあらわせます。

 

ROO・ + ArOH ⇆ ROOH + ArO・

R・ + ArOH ⇆ RH + ArO・

 

フェノールArOHがフェノキシルラジカルArOH・になるということは、O-H結合が解離していることを指します。

つまりは、O-Hの結合解離エネルギーが他の物質と比べて低いことと言い換えることができますね。

 

これは前回同様にArO・が共鳴安定化するため、エネルギーが低い、そう説明されています。

 

 

 

それでは同じくO-H結合のあるアルコールやカルボン酸は抗酸化作用がないのでしょうか?

まず、アルコールR-OHは一般に共鳴安定化することができません。実際アルコールには抗酸化作用がありません。ですので、共鳴安定化という説明でよさそうです。一方カルボン酸R-COOHは二重結合が隣接するため共鳴安定化することができます。しかし、カルボン酸には抗酸化作用がないのです。

つまり、共鳴構造式が書けて安定化すると説明することに難があるのです。

 

そもそも、フェノールよりカルボン酸の方が酸性が強い、RCOOHのO-H結合が外れやすいのです。

したがって、結合の外れやすさのみで議論するのも難しいのです。

 

 

 

話を整理しましょう。

❶抗酸化作用とは電子・を捕捉する作用を指します。
❷捕捉するためには、もともとある結合を解離しなければなりません。つまり結合の解離しやすさが、抗酸化作用の強さと表現できそうです。

 

❸一方酸性の強さはRO-HがRO⊖とH⊕への電離しやすさと表現することができます。

 

❹フェノールのArO-HのOとHの結合は外れやすいです。
❺一方、カルボン酸のRCOO-HのOとHの結合は、フェノールより外れやすいです。

 

❻ ❹と❷より、結合が解離しやすいので、フェノールは抗酸化作用があります。

❼ ❺と❸より、結合が解離しやすいので、カルボン酸の方が酸性が強く、フェノールの方が酸性が弱いです。

 

❽ しかし、❺よりカルボン酸の方が結合が解離しやすいのに、カルボン酸には抗酸化作用がありません。

 

 

 

これは、結合解離という現象が2種類混在しているため起こり得るパラドックスだったのです。

共有結合とは、お互いに最外殻電子を1電子ずつ共有しあってできる結合でした。ArO・と・HがArO:Hの状態になるわけですね。

この結合の外れ方は①もとのArO・と・Hになる均等開裂、②ArO:⊖とH⊕になる不均等開裂の2種類存在します。

 

実は①の均等開裂のしやすさを示すのが結合解離エネルギーなのです。フェノールとカルボン酸ではおよそ100kJ/molほどの差があるといわれています。カルボン酸は①はしにくく②が起こりやすいというわけです。

 

 

 

さて、それでは話は元に戻ります。O-Hの結合解離エネルギーが他の物質と比べて低い理由はなぜでしょう。

 

フェノキシルArO・の静電ポテンシャルをみると、対称的に分布していることがみられます。計算によるとHOMOとSOMOのエネルギー差が少ないようです。SOMOは1電子の場合の考え方です。もとの HOMO を SOMO、もとのLUMO を SOMO’とするとわかりやすいと思います。つまりは、ひろく局在化していないことを意味します。

 

こういうのを一般に共鳴安定化と呼ぶのかもしれませんが、共鳴構造式を書ける書けないだけでは応用できない話題でした。

 

なぜフェノールは酸性なの? 理科の学びなおし

フェノールはベンゼン環に-OH基がついたものです。

 

 

 

 

 

-OHがついたものはほかにもアルコールやカルボン酸があります。

この中で、カルボン酸・フェノールは酸性を示して、アルコールは中性であるといいます。カルボン酸はともかく、フェノールが酸性を示すのはいったいなぜでしょうか。

 

 

 

wikiのこたえ

wikipediaには以下のように書いてあります。

芳香環の共鳴効果によって共役塩基のフェノキシドイオン(またはフェノラートイオン);C6H5O-が安定化されるため、同じくヒドロキシ基を持つアルコール類よりも5桁以上高い酸解離定数 (pKa = 9.95) を示す。



 

ですが、どうやらこれだけでは説明には不足しているというのです。

 

 

 

Siggel先生のこたえ

M. S. Siggel, et al(1986)によるとフェノキシドとカルボキシレート・アルコキシドの安定性には差がないといいます。

 

対して違いがあったのは、-O-HのHが+性を帯びていたということです。

 

つまり、一般的にいわれている「H+が外れたイオンの状態が安定だったら酸性が強い」とは逆で「H+が外れやすかったら酸性が強い」のです。

 

 

 

Siggel先生の考え

ここでカルボン酸とフェノールにはあって、アルコールにはないものを考えます。

 

カルボン酸→カルボキシレートはC=O二重結合が、
フェノール→フェノキシドにはC=C二重結合が、
対してアルコール→は単結合ですね。

 

さて、二重結合ということはsp2混成軌道であることが関係していそうです。

 

sp3混成軌道よりもsp2混成軌道のほうがs性が大きく、つまりは原子核からの距離が近く、電子を引き付ける力、電気陰性度が高いのでした。これが答えになりそうですね。

 

カルボン酸・フェノールのO-H間の電子は、O側により傾いていて、H+が外れやすい環境にあるといえます。

 

 

MOで考えてみる

具体的に酸の解離を考えます。つまりは水溶液中でイオンになるわけですね。

-O-HのH+が外れて、-O⊖になるのです。これは、水H2Oによる求核的な反応と考えてよいでしょう。

 

求電子剤は同じH2Oなので、HOMOは同一条件。求核剤のO-HにおけるHのLUMOを求めれば反応性がわかりそうです。山口達明先生の本にデータがあります。

酢酸は0.267、フェノールは0.336、アルコール(t-ブタノール)は0.076と大きく異なります。値が大きい方が求核反応を受けやすいのでした。

 

このようにMO理論からも補足できました。

 

 

 

学びなおしまとめ

フェノールはなぜ酸性を示すの?

よくある回答:H+が外れたイオンであるフェノキシドイオンが安定だから

今回学びなおしたこと:H+が外れやすいから

 

 

 

 

補足

 

アルコールが単結合なのは、アルコールの根元の炭素にC=C二重結合があるビニルアルコールはケト型に変わってしまうのでした(ケト-エノール互変異性)。

ja.wikipedia.org

 

 

撤退

「完璧主義ではいけない」というのは誰もがわかっていると思います。しかし、ある程度のクオリティをもとめることはやめられません。むしろ、資質が低い人なのだと思われるのが嫌です。そういった後ろ向きの理由から目標を高くもちすぎてしまいます。

さまざまなストレッサーはもとをたどれば高すぎる目標、その執着ゆえんなのかもしれません。いいえ、それはわかっているのに、その執着心をおさえられないのです。

 

こういうのを「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」というのでしょう(中島 敦)。

www.aozora.gr.jp

www.youtube.com

 

 

撤退

この年齢になってくるともう身体的成長がなく、老化する一方なんだなあと思うのです。というよりも、脳も身体も心もガタが来るというのが、嫌でもわかるようになったというのでしょうか笑

 
ああ、自分は秀才ではなかったんだなあ、と。最前線に行くような人は特別な人で、自分はどちらかというと真ん中より後ろ側だったんだなあ、と。受け入れざるを得ないのです。

 

 

受け入れるという作業はとても辛いです。

まず、認識すること。自己のキャパシティの低さを認める必要があります。

そして、低スペックさを補うために誰かの助力をもとめます。それができない場合は訂正や修正を繰り返してクオリティをあげます。

最後に、未熟な成果物を世に出したことや失敗したことによる羞恥心などの負の感情を忘却します。

 

 

先に述べた完璧主義思想がゆえに、受け入れることがなかなか難しかったのですが。衰えを自覚したのをきっかけに、だんだんとできるようになってきました。

 

 

認識、訂正、忘却。こうして社会人とか大人とか、ちゃんとした人だとか、そういったレースの最前線から撤退したのです。

 

 

これがラジオだったらCreepy Nutsのかつて天才だった俺たちへを流しているでしょう。

 

youtu.be

 

 

 

再挑戦

いいこともあります。自分のキャパシティを見積もることができるようになったので、どれにどれほどのコストをかければよいかという概算がつくようになったのです。もちろん休息を考えて。

 

昔苦手だった読書や運動も、自分の限界がわかるわけで目標ややめどきがつけやすく、そういったものに再挑戦するのが楽しくなってきたのです。

 

VRでイベントキャストをするのも、自分のキャパシティを考えたうえで、スキルが上達していくのがみれて楽しいのです。

 

例えばスポーツも、部活動だとやらされている感や体育会系のノリがきつかったと思います。しかし、できない側であるという受容をした後は、それでも身体を動かしたり得点を決めたりすることが楽しくなると思うのです。

 

 

最近は、完璧を求めすぎないができるだけ目指すという文化、臨場感を共有するコンテンツに興味があります。

 

例えばRTAです。厳密に完璧を求めるならばTASには勝てないのですが、そうではなく人間として高みを目指すことに面白さがあります。またランキング上位だけに意味があるのではなく、ライブ配信をみることで一緒に盛り上がることができます。スポーツ観戦に近いのでしょう。応援したくなりますよね。

 

また、DJプレイも楽しいです。最近になって音楽を聴き始めたのですが、それでも選曲する楽しさ、一緒に盛り上がることのできる環境がいいです。未知のよい曲を知るきっかけにもなります。また、スキルという面でも成長をすることができます。

 

昔は陽キャの文化だと思っていたものが、できない側であると受容することによって、自分も楽しめるようになってきたのです。

 

衰退がゆえの自己受容は、そんな昔は苦手だった物事を見つめなおすきっかけに、むしろ変な色眼鏡を外してみるきっかけになりました。

 

 

乱文ですが、高校のころ、嫌いだった先生が勧めてきた曲で〆ようと思います。

 

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ノート:現代文解釈の基礎 論理的な文章 Ⅰ

現代文解釈の基礎 ノート

 

論理的な文章(p225~)のうち
Ⅰ 解釈の基本 1~3についてのノート

 

 

Ⅰ章の構造

単語→文→段落→全体……と理解の対象が大きくなっていく構造

1 一語一語の内容 難解な語を理解する

2 一文一文の内容 一文一文の内容をおさえていく

3 段落の要旨 段落の要旨を一つ一つおさえていく

4 全体の要旨 全体としてどういうことが論じられているか

 

 

 

1 一語一語の内容 難解な語を理解する
  1. 指示詞(こ・そ・あ・ど)
    ・同じ言葉を繰り返し使いたくない→指示語にする
    ・逆にいえば指示語にしている言葉は何度も繰り返している内容、主張
  2. 論者自身が下す説明
    ・日本語において接続詞は省略することが可能
    ・逆にいえばわざわざ接続詞を用いているのは強調表現
    ・「すなわち」「つまり」などの要約、「したがって」「だから」などの因果関係、「たとえば」などの例示の後ろに来ることが多い
  3. 言い換え語句
    ・抽象的な主張には言い換え表現や例示で解像度をあげている
  4. 対義語
    ・逆の説明をすることで、持論の厚みを増している

 

 

 

2 一文一文の内容 一文一文の内容をおさえていく
  1. 主語・述語の抽出
  2. 重要な修飾語
    →1.2.まとめて 述語にもっとも影響を与えそうな修飾語(主語も修飾語とみなす)をみつける
  3. 指示語
  4. 言い換え語句
    →3.4.まとめて 
    ・同じ言葉を繰り返し使いたくない→指示語、言い換えにする
    ・逆にいえば指示語や言い換えは何度も繰り返している内容、主張

 

 

 

3 段落の要旨 段落の要旨を一つ一つおさえていく
  1. 繰り返される同一語句
    ・段落の題目、テーマであることが多い
  2. 類義語、言い換え、対義語
    ・題目に対する論者の把握、つまり主張であることが多い
  3. 段落の中心的解説を見つける
  4. 段落の要旨を位置づける
    ・段落の説明、何がどうだ、テーマと主張をまとめる
    ・「何が」:テーマ → 1. 繰り返し、同一語句
    ・「どうだ」:主張 → 2. 類義語、言い換え、対義語
    ・まとめる → 3. 段落の中で「何が」「どうだ」と述べている文を探す

 

 

積極的な受けで主導権を握る

会話において「主導権」ってあるよなあと思うのです。

それについてのブログとなります。

 

 

 

 

会話の主導権

会話による情報伝達の主導権維持には4つの方法があるといいます(李 麗燕)。

  • 持続表示……「それでね」「つまり」などの接続
  • 注目要求……「ほら」「あのね」、語尾の延長「~さー、なんだよねー」、同一語句の反復、上昇音調
  • 時間稼ぎ……「えー」「あのー」「んー」
  • 他者無視

これは一時的な情報伝達における、発言としての行動ですので、みながまんべんなく行っている行動だと思います。

 

ですが、私はこれにパーソナリティやキャラによって志向や偏りがあるのではないか、と思うのです。

つまり、日常的に行っている会話、多人数で行う他愛ない会話に関して。主導権維持の志向性、クセがあるのではないか。そのクセはその人のキャラと関係しているのではないか、ということです。

 

ここでいう他愛ない会話は、情報の精度や新規性などが重要なのではなく、会話することそれ自体が重要なのです。そのためには、相手に伝達した情報の理解に要する力が少ない方が好まれます。つまり、簡単な話、共通の話題、内輪ネタ、予定調和な展開などです。

 

そういった低刺激な情報の主導権をどうやって握っているのでしょうか。

もちろん、上記の4つの方法もあるでしょう。ですが、もう少し大きな枠で、「話の流れ」のようなものの主導権について考えたいと思います。そのためにまず、会話そのものを俯瞰してみましょう。

 

 

 

会話の役割

会話は2者と3者以上で役割や性質が大きく異なるといいます。

 

2者間の会話における役割は次の2つです。

  • 話し手
  • 聞き手

 

対して、3者以上の会話における役割は次の3つです(Clark & Carlsonの分類)。

  • 話し手
  • 受信者……次の話し手になる聞き手
  • 傍参与者……話し手にならない聞き手

 

「話の流れ」を考えると、それを握るひとつの要素は発言権奪取にあるでしょう。そもそも話し手でなければ情報伝達の主導権維持はできませんからね。発言権奪取は話し手になることです。つまり、話し続けること、もしくは次の話し手になる「受信者」になることでしょう。

 

この分類は発言権、カラオケでいうマイクを持っている人に注目した分類方法です。カラオケは順番に歌うというルールが無意識的に働きます。しかし、会話にはそれがありません。コミュニケーションスキルやパーソナリティ、キャラが発言権取得に関与しているといわれています。

 

どのように関与しているかは、詳細は不明のところが多いです。そこで、会話における動作に、とくに積極的か否かについて着目してみることで、キャラとの関係性を考えてみたいと思います。

 

 

 

話す・聞くという動作

話す・聞くという動作はそれぞれ性質の異なるものです。話すというのは能動的な動きで、対して聞くというのは受動的な動きです。積極性を考えると次の3つに分けられるのではないでしょうか。

  • 積極的に話す……積極的な能動性、話し手であり続ける
  • 積極的に聞く……積極的な受動性、聞き手であり続ける
  • 消極的に会話する……その他

会話におけるスタンスと言い換えてもいいでしょう。

 

ところで、聞き手は受信者と傍参与者に分けられました。つまり、積極的に聞くことは細分化できます。

  • 積極的に受信者になる……次の話し手になろうとする
  • 積極的に傍参与者になる……次の話し手にならないようにする

このなかで積極的な受信者が会話の転換点になることは容易に想像できると思います。会話をキャッチボールでいうのなら、ボールを受け取って投げ返すことが上手な人です。

 

 

 

積極的受信者のキャラ

話し手からのバトンを受け取ったという表明を表すために、会話を始めるためにとる行動は情報伝達の主導権維持に共通するように感じます。とくに持続表示と注目要求です。

  • 持続表示……「それは……」「なるほど……」
  • 注目要求……「あー」「はいはい」

こういうバトンを受け取りましたというアピールはみなが行うことです(アピールという点でおおよそ注目要求に入るのですが)。

 

ここで、冒頭に書いた私の仮説が出てくるのです。こういったアピールの志向性はパーソナリティやキャラによるものではないか、ということです。

  • 持続表示……話題の内容に主軸があるようにふるまう
  • 注目要求……話者に主軸があるようにふるまう

パーソナリティよりもキャラに注目してみます。パーソナリティは内なるものですが、キャラは世間的な同意を求めるもので、他者との関係上成り立つものです。

持続表示キャラと注目要求キャラがあるとして考えると、スッキリするように思えます。以下それがあると仮定しての話です。

 

持続表示キャラは「話題の内容に主軸があるようにふるまう」ように話し手に思わせる効果があります。同じく、注目要求キャラは「話者に主軸があるようにふるまう」ように話し手に思わせる効果があります。

これらはキャラですので、話者間の共通認識になります。ですから、話し手が「こういうこと言ってほしいんだな」だとか、もしくは無意識に抑え込まれ「あまり考えずに話してた」だとかいう場合は、聞き手のキャラを理解して、聞き手が受け取りやすいように話を振っているということでしょう。

 

 

 

「話の流れ」の主導権

少しまとめてみましょう。

 

「話の流れ」のようなものの主導権について考えているのでした。

主導権を得るひとつの方法は、話し手になること、発言権奪取でした。

発言権の取得には、話し手でありつづけること、そして次の話し手である受信者になること、この2つの方法があるのでした。

積極的な話し手になる人はおしゃべりな人です。

積極的な受信者になるのは2つあって、ひとつは話の内容を展開させてつなげるパターン(持続表示キャラ)。もうひとつは、とりあえず話し手になるパターン(注目要求キャラ)。

これらパターンはパーソナリティというよりもキャラとして定着・共通認識されているものだと私は考えるのです。

 

とくに他愛ない会話を考えると、内容の重要性はありませんから注目要求キャラ的な志向がその会話を円滑にさせると考えられます。

 

 

 

いじられキャラ

ここまで私もまとまりきっていないことを書いていたのですが、これがいいたかったのです。

 

注目要求キャラとはいじられキャラである。いじられ内容は既知のもので内容の新規性はない。けれども、他愛ない会話、会話していること自体が重要な場面ではとくに問題視されない。

そのキャラとして定着・共通認識されているからこそ、話し手も聞き手も何を言えばどういった反応をしてくれるのか/すればよいのか、ある程度理解できる。だから会話のパスを出しやすい。円滑な会話ができる。

いじられキャラであることは「おしゃべりな人」という属性を避け、積極的な受信者として会話の主導権を握ることである。

 

……ということです。

 

 

 

わたしはなかなか難しいなと思って、そこまで至れないのです。

むしろ、私は積極的な持続表示キャラとしてあり続けたいなという理想があります。

 

 

 

 

参考